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【報告】「女性と防災」テーマ館主催シンポジウム⑤

Women Can Do It! 女性と防災まちづくり

「災害と女の子たち~ガールズ防災会議~」

4日目の3月17日午後は、主催シンポジウムとしては最後となる「災害と女の子たち~ガールズ防災会議~」が行われ、災害時における10代20代の女性たちの課題や支援策について議論しました。女の子が本来持つ力、女の子の声を取り入れることの重要性が取り上げられ、“災害時だけでなく日常からの女の子への支援が災害に強い地域づくりにつながる“ことを強く発信するシンポジウムとなりました。

モデレーター

大崎 麻子(公益財団法人プラン・ジャパン 理事、ジェンダー・アクション・プラットフォーム(GAP) アドボカシー担当)

スピーカー

イェン・ソフューン(カンボジアの大学生、元スレイ・スナム子ども議会議長)
ウニ・クリシュナン(国際NGOプラン 緊急災害支援担当、医師)
スバトラ・ジャヤラジ(国際家族計画連盟(IPPF)緊急・復興支援チーム、医師)
橘 ジュン(特定非営利活動法人BONDプロジェクト 代表)
林崎 知実(女子の暮らしの研究所 研究員)
宮原 契子(公益財団法人ジョイセフ 企画マーケティンググループ 課長)
(敬称略)

基調スピーチ:このセッションの背景

シンポジウム開催にあたり、公益財団法人せんだい男女共同参画財団の木須八重子理事長が基調スピーチを行いました。
東日本大震災の後、仙台で男女共同参画推進センターが女子中高生の支援に取り組んできた経験から、「大人と子どもの狭間で悩みを抱え生きづらさを感じている10代の子どもたちの存在に気づき、大人が女の子へまなざしを向けることが大切。女の子への支援が地域や社会を支えることにつながる、そんなディスカッションがここで行われることを大変力強く思う」と、このシンポジウムに対する想いや期待を述べました。

報告・問題提起:東日本大震災・世界の災害から見えてきた、女の子の問題

大崎:世界の災害・東日本大震災から見えてきた女の子の問題を可視化して、政策課題に反映させるよう動いていかなくてはならない。女の子たちの声をどのようにして聞き、取り入れ、どうやってエンパワーメントに繋げていくか、このシンポジウムで皆さんと考えていきたい。

:街頭アンケートやメール相談等で見えてきた、女の子たちの現状や課題がある。抱えている傷は人それぞれ。当事者に合った支援の仕方があり、信頼できる大人に早くつながることが重要。女の子たちには、もっとリアルな声を聴かせてほしい。

宮原・ジャヤラジ:災害時、リプロダクティブ・ヘルスの視点は不可欠で、MISP(最低限必要な支援内容)の提供を行っている。女性支援の視点は、災害時に女性や女の子を守るために絶対不可欠な要素。東日本大震災時の避難所は、阪神淡路大震災と比べると多少改善が見られるが、女性のプライバシーの確保・トイレの安全性については、徹底されていなかった。

クリシュナン:思春期の女の子は、女性であり子どもであるという二重に弱い立場に置かれており、災害時における彼女たちのニーズが認識されていない。女の子たちへの良質な教育や防災活動への参画を進めていくべき。

パネルディスカッション:女の子たちの声が、世界の未来を創る

パネルディスカッションは、モデレーターの大崎麻子さんが中心となって進められました。

林崎:福島の女の子の課題や原子力災害のことがもっと語られるようになってほしい。福島の女の子たちの声を届けたい、女の子たちが社会のことを考え、自分らしい生き方を選択できるようにという思いから、これまで伝統工芸品を使用したグッズの販売や被災地をバスで巡るツアー、ラジオ番組などを実施してきた。困る人が生まれないように皆で考えていきたい、誰も悲しまない社会をつくっていきたい。

ソフューン:カンボジアでは、地域に情報を広めるために女の子の防災研修、学校や地域にて演劇を通じた防災活動、植樹活動を通じてハザードマップの作成などを行っている。社会に向けて発信する女の子たちは、機会さえあれば変化をもたらすメッセンジャーにもなりうる。男の子と同じように女の子たちは何でもできる!

『ガールズの声を聴く・活かす/ガールズのエンパワーメント』

女の子たちの声を聴き、それを活かしていくためにはどうしたらよいか?というテーマについて、パネリストたちから様々な意見・取り組みが挙がりました。

  • 女の子たちの声を聴くことができる人を育成する
  • 女の子たちに「伝えやすい人に伝えていい」というメッセージを送る
  • 正しい情報を共有できる居場所づくりが大事
  • 女の子の声を発信することが重要(若い女性のニーズは様々。社会的、心理的、身体的なもの)
  • 同年代の子たちをピアエデュケーターとして育成する

この日会場を訪れた190名の参加者とともに、災害時だけでなく、平常時から、女の子たちに正しい情報を伝え、継続して性教育を行うこと、女の子たちの声を拾う仕組みをつくり、様々な機関が連携していくことなど、彼女たちのエンパワーメントを進める上で、重要なポイントを確認し合うことができました。

クロージング

最後に、ジェンダー・アクション・プラットフォーム(GAP)代表の目黒依子さんとオックスファム・ジャパンの高橋聖子さんがシンポジウムを振り返り、「女の子たちの支援に向けて何らかのアクションを起こしてほしい、今日がそのスタートの日です」とメッセージを発信し、「災害と女の子たち~ガールズ防災会議~」が終了しました。

参加者の感想

  • 話し合いの場に若い女性が参加し、一緒に話し合い、当事者の声が聞けたことはとても良かったです。
  • 林崎さんやイェンさんのような同世代の人が身近なところから始め、すばらしい活動をしていることに感動しました。
  • 改めて女性、女の子の日頃からのエンパワーメントの大切さを学びました。
  • 日本や海外の女の子たちのもっている課題、行われている取り組み、それに関わっている方々のご意見をきける、とても貴重な機会でした。
  • 災害時の女の子に焦点をあてたディスカッションであったため、内容が密で大変興味深く勉強になりました。自分も発信していければと思います。

交流会

シンポジウムの後、登壇者や支援者、若い世代の方々による交流会が行われました。

問い合わせ

エル・パーク仙台 管理事業課
〒980-8555 仙台市青葉区一番町4-11-1 141ビル(仙台三越定禅寺通り館)5階
電話番号:022-268-8301 ファックス:022-268-8316