【報告】テーマ館主催シンポジウム③
2015年05月01日

3 「災害に強い社会づくり ~男女共同参画の視点を根づかせる」

3日目の3月16日に行われたのは、「災害に強い社会づくり ~男女共同参画の視点を根づかせる」。東日本大震災の反省や教訓を踏まえ、防災・復興の政策に組み込まれるようになってきた男女共同参画や多様性配慮の視点を、地域や支援活動の現場でどう定着させていくか、各地の取り組みから、具体的かつ実践的な方法を探りました。

<コーディネーター>
浅野幸子(減災と男女共同参画 研修推進センター(GDRR)共同代表、
     早稲田大学「地域社会と危機管理研究所」招聘研究員)
池田恵子(減災と男女共同参画 研修推進センター(GDRR)共同代表、
     静岡大学教育学部教授、静岡大学防災総合センター兼任教員)
<報告>
宗片恵美子(特定非営利活動法人イコールネット仙台 代表理事)
三浦三恵子(せんだい防災プロジェクトチーム)
瀬山紀子(埼玉県男女共同参画推進センター事業コーディネータ)
福田信章(東京災害ボランティアネットワーク 事務局長)
今野均(片平地区連合町内会 会長、花壇大手町町内会 会長(仙台市青葉区))
(敬称略)
 
第1部 東日本大震災後の各地の実践事例
はじめに、コーディネーターの池田さんから、東日本大震災後、国の防災基本計画に男女共同参画や多様性配慮の視点が明確にうたわれるようになったこと、内閣府の「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」が策定されたことなど、政策面での前進についての報告がありました。

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続いて、浅野さんから、男女共同参画の視点を軸として、消防や防災関係者、自治会・町内会などの地域組織、ボランティア団体や福祉団体など、様々な主体を巻き込んで実践されてきた全国各地の取り組みの好事例の紹介が行われました。

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第1部の登壇者の宗片さん、三浦さん、瀬山さんからは、「人材育成」や「場づくり」の観点から、仙台・埼玉における取り組みや課題が報告されました。

【宗片】東日本大震災後に被災女性を対象に行った調査では、支援を受けるだけでなく、自らも支援活動を行った女性が6割以上いたことが明らかになり、避難所等に女性リーダーがいてほしかったという声もあった。地域の防災力を高めるために、担い手となる女性リーダーの育成が必要と感じ、「女性のための防災リーダー養成講座」を2013年より開始。これまで61名が受講し、地域での実践や受講生同士のネットワークが生まれているほか、登米市や陸前高田市など市外にも同様の取り組みが広がっている。修了生たちが地域に根をおろして活動できる仕組みづくりが課題。

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【三浦】「女性の視点による地域防災ワークショップ」受講生の有志と、せんだい男女共同参画財団職員とで、被災者への聞き取りや話し合いを重ね、「仙台版防災ワークショップ『みんなのための避難所作り』」というワークショッププログラムを作成した。市民センターや行政職員、町内会等を対象に実施し、これまでに約600名が参加。ノウハウを伝えるというよりも、地域の当事者性を引き出すきっかけをつくる。老若男女が意見を言い合い、聞き合うことで、いろいろな意見があることに気づき、女性たちは「自分の意見を言っていい」という自己肯定感が高まる。時にはワークショップの趣旨を理解してもらうこと、地域に入っていくことの難しさを感じることも。

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【瀬山】埼玉県男女共同参画推進センターは、福島からの大規模避難所となった「さいたまスーパーアリーナ」の近隣施設として、子連れの避難者の居場所の提供など、側面的支援を行った。現在も県内の広域避難者の交流の場である「さいがい・つながりカフェ」の支援を行っている。その経験を踏まえ、防災分野に男女共同参画の視点を入れようと、地域防災計画の改定や、防災関係者・支援者向けの研修にセンターの職員として携わっている。行政、自治会、自主防災組織など既存の組織をどう動かし、自分で考え行動できる人をつくっていくかが大切。研修自体が、異なる領域や立場の人にとって協働の場となるよう配慮している。地域社会に変化を起こしていくために、男女共同参画センターが誰に視点を伝え、どこと組むのか、模索していくことが重要。

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第2部 防災・復興における男女共同参画視点の定着化に向けて
~多様な視点から
第1部の議論を受けて、これから地域の防災体制、民間ボランティアを含めた支援体制の中に男女共同参画や多様性配慮の視点をどのように定着させていくか、足がかりとなるポイントを提示していきました。

まず、コーディネーターの池田さんから、下記の論点が示されました。
―代表者が男性や一部の人だけという地域よりも、年代、性別、障害を持つ当事者などいろいろな立場の人が入り込んでいる地域のほうが、外からの支援を受けやすい。
―日本人が考える減災の概念は、ともすれば逃げることやインフラの整備、被害を最小限に食い止めるという方向になりがちだが、普段の社会の中に存在している不平等や排除、格差をなくしていくことこそが、災害に強い社会につながるというのが国際的なスタンダード。
―地域の自主防災組織に女性リーダーが増えていかない、女性の防災リーダーが地域に入っていけないのは、防災だけでなく地域自治全体の問題。
―ボランティアセクター・危機管理担当部署と男女共同参画セクターとの連携促進が急務。

続いて、第2部の登壇者の福田さん、今野さんより、それぞれ災害ボランティア、地域コミュニティを担う立場から、東日本大震災の経験からの気づきや課題が報告されました。

【福田】災害ボランティアセンターの大きな役割は、被災者のニーズとボランティアの活動希望をマッチングすること。支援活動の基本になるのは、被災者の“助けて”という声。ニーズの把握からスタートするが、しんどい人ほど声をあげないため、これが一番難しい。雑談やお茶のみの場を設け、地域のリーダーだけでなく、高齢女性や子どもなど、被災者の近くで様子を見聞きし、ニーズの把握に努めた。深刻なニーズほど、自分たちだけでは解決できない。男女共同参画セクターなど、テーマで活動している専門機関とつながることで、多様な被災者のニーズに応えられるようにしていきたい。

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【今野】片平地区は、マンションも多く、単身世帯や高齢者、海外からの留学生が多く住む地域。町内会活動からまちづくり活動への転換を、震災前から図り、町内会だけでなく地区の社会福祉協議会や学校、PTA、地域包括支援センター、学生など、多様な主体と協働して、まちの活性化に向けた提案型活動を行ってきた。普段から多様な人がまちづくりに関わる仕組みをつくってきたことが、東日本大震災の支援活動に活かされた。町内会だけで課題を解決するのは難しい。協働体制で行うのがまちづくりの基本だと考えている。

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第3部 さらに現場に根づかせるために ~今後の取り組み
最後に、今後の取り組みとして何ができるか、どんなことが必要か、様々な意見が出されました。

―災害が起こる前に備えておくことが重要。キーワードは「受援力」と「連携」。外部の支援を受ける力があるところに支援は集中する。自分たちだけでできないことは、様々な主体と手をつないで解決していければいい。
―女性たちは防災やまちづくりの担い手になろうと、自ら手を上げ、ネットワークを作りはじめている。マンパワーとしてではなく、リーダーとして女性たちが地域に参画していくために、さらなる仕組みや受け皿が必要だ。
―結局は「地域をどうしていきたいか」という一言に尽きる。女性に地域の意思決定の場に入ってくださいと突然誘っても抵抗があるかもしれない。まずは様々なまちづくりのプロジェクトの、得意分野に入ってもらうことから進めていきたい。
―普段からコミュニティをみんなで作っていく素地や、いろいろな人に参加の場所があることが前提条件。「男女共同参画」とあえて言わずとも、地域の多様な課題に寄り添って解決策を見出していく中で、「男女共同参画」の視点が自ずと入っていくのではないか。

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このシンポジウムには、男女共同参画セクターはもちろん、行政の危機管理部署や消防関係者、地域団体、社会福祉協議会やボランティア団体など様々なセクターから、213名の参加者が集まりました。

それぞれの団体や組織が単独で取り組むのではなく、連携・協働しながら、強みを持ち寄って防災やまちづくりを進めていくこと、その中で、平常時から男女共同参画セクターが、地域の課題解決に寄り添い、多様性配慮の視点を根づかせていくことの重要性を発信する機会となりました。

<参加者の感想>

・男女共同参画といっても、男性対女性ではなく、男性も女性も高齢者も若者も障害者も子どもも皆が暮らしやすいまちづくりをするということがわかりました。

・災害が発生する前に、地域の各団体が連携するしくみを構築していくことが必要であることを痛感した。いろんな人に参加の居場所があること、作っていくことが大切だと改めて認識した。

・被災地に住んでいない第三者として、どうしたらつながれるかを考える機会をいただいた。

・防災を考えるとき、まちづくりは重要。日頃の風通しが防災につながる。避難所のジェンダー問題はやはり社会全体のジェンダーの意識がまだまだだからだと感じた。

・男女共同参画の視点を根づかせるために、「防災」を切り口とした活動は、自然に取り組みやすいと考えます。現在、防災に関わる市民の方は高齢化していると思います。もっと若い人が参加できる取り組みと女性がすべての場所で発言できるための学習が必要です。

・日頃感じていた、男女共同参画はあらゆる課題の根底にあるが、男女共同参画という言葉を前面に打ち出すことが必ずしも効果的ではないということの共有・共感ができてスッキリしました。住民が多様性を受け入れられるような取り組みを進めたいと思います。

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