【報告】テーマ館主催シンポジウム②
2015年04月28日

2 「あるってだいじ ~災害時の男女共同参画センターの役割とは~」

2日目の3月15日に行われたのは、「あるってだいじ ~災害時の男女共同参画センターの役割とは~」。東日本大震災では、被災地のセンターをはじめ、全国のセンターが男女共同参画の視点から多様な支援活動を行いました。その中には、センター同士の連携によってはじめて可能になった支援もありました。

これらの経験から、災害時に男女共同参画センターが果たすべき役割や、センター同士が連携して支援活動を行うことの意義や可能性、課題について議論を深めました。あわせて、全国女性会館協議会が検討を進めてきた「男女共同参画センター相互支援システム」の行動計画と提言を発表しました。

<コーディネーター>
桜井陽子(特定非営利活動法人全国女性会館協議会理事長)
<パネリスト>
武川恵子(内閣府男女共同参画局長)
竹原正篤(元マイクロソフト株式会社社会貢献部長)
松下光惠(特定非営利活動法人男女共同参画フォーラムしずおか代表理事)
木須八重子(公益財団法人せんだい男女共同参画財団理事長)
<報告>
納米恵美子(特定非営利活動法人全国女性会館協議会常任理事)
(敬称略)
 

登壇者からの発言
はじめに、災害時に男女共同参画センターに寄せる期待や可能性について、登壇者がそれぞれの見地から意見を述べました。

【木須】震災当時、津波で沿岸部が甚大な被害を受けた仙台市宮城野区の区長を務めていた。想定をはるかに超える大規模災害の中、自らが決定の場にいながらも、現場に男女共同参画の視点を行き渡らせることは難しかった。混乱した状況下で、女性支援を速やかに立ち上げるためには、その視点を持つ専門家の存在と平常時からのネットワークが必要と強く感じ、それが今回の「相互支援システム」の着想につながった。
震災後に全面修正された仙台市地域防災計画では、基本方針に男女共同参画の視点がしっかりと明記され、男女共同参画センターが災害時の女性支援センターとして明確に位置付けられた。
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【松下】近い将来、高い確率で東海地震の発生が予測されている静岡市で、女性センターの指定管理者を務めている。早急に解決したいことは、現在運営しているセンターが静岡市の地域防災計画で「地域避難所」に位置づけられていること。女性相談や避難所での女性のニーズ把握など、女性センターが災害時に多くの役割を果たせることを行政に伝え、地域防災計画に女性支援に特化した役割を明確に位置付けてもらうよう、引き続き要望していきたい。
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【竹原】マイクロソフト社では、全国女性会館協議会とのパートナーシップにより、各地の女性センターで、DV被害者やシングルマザーなど困難な状況にある女性たちを対象にパソコン講座を実施する、「UPプログラム」を展開してきた。成功の要因は、中間支援組織としての全国女性会館協議会。課題解決に向けた「思い」の共有や、ノウハウ蓄積のパイプ役となったことが大きい。この中間支援の仕組みは、防災など他の社会課題にも役立てられるのではないか。

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【武川】普段から女性の課題を扱っている男女共同参画センターには、災害時にもその専門性や市民と行政をつなぐ役割が期待されている。平成25年5月に策定された「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」においても、平常時、災害時それぞれの男女共同参画センターの役割が明記されている。
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桜井】全国女性会館協議会が会員館を対象に2011年から行ってきた調査によると、東日本大震災に関連して全国のセンターが実施してきた活動の中で、被災地で女性相談に携わる職員の派遣が25%を占めている。被災地外のセンターの人材と専門性が支援活動に大きな役割を果たした実績がある。
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パネルディスカッション
続いて、「男女共同参画センターの持つ専門性とは何か」、「センター同士がつながることのメリットや課題」、「受援力」の3つのテーマに基づき、今後の災害に備えた支援のあり方について議論を深めました。

1.男女共同参画センターの専門性
―女性の困難はもちろん、男女共同参画の視点から男性の困難にも目を向けることができる
―災害時にニーズがあっても我慢しがちな女性たちに感性をのばし、女性の視点でニーズを聞き取ることができる
―心のケアや安心感を生み出すきめ細やかな支援が可能
―困難な状況にある女性の能力開発や自立に向けた支援を日頃から行っている

2.センター同士がつながることのメリットと課題
●メリットは
―日頃同じ課題や目的のもとに事業を行っているため、瞬発力のある支援が可能
―取り組みや支援活動の好事例についての情報交換ができる
―双方向のコミュニケーションにより経験値の共有が図られる
●成り立ちから規模、設置者まで異なるセンターがつながるための課題として
―指定管理の業務外である被災地への支援活動を、設置者である行政にいかに理解してもらうかが重要
―本来業務に支障が出ないような、ゆるやかなつながりを想定する必要がある
―まずは地域防災計画における女性支援の拠点としてのセンターの位置づけを、現在の38%程度からもっと上げていくことが必要

3.受援力
いざというときにあわてないために、支援を受ける側になったときの受け入れ体制や、女性団体に限らず、地域の様々な社会資源とのネットワークを平常時から整えておく必要がある
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報告「男女共同参画センター相互支援システム」の行動計画と提言
システムの行動指針として、センター同士がつながることでよりよい支援を目指すものであること、センターがやりたいことでなく被災現地が必要としている支援を行うこと、全てのセンターが一律の対応を行うのではなく、できる範囲のことをできるタイミングで行うことなどが伝えられました。
また、被災直後と発災後1カ月の本部及びハブセンター、被災地センター、被災地外センターのそれぞれの役割分担のイメージや、平時からの基盤整備として研修や情報プラットフォームの構築を行うことが説明されました。そして、国や地方公共団体に向けて、災害時におけるセンターの役割の明確化や相互支援に向けた理解の促進を求める提言を行いました。
◆詳細はこちら
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ノルウェー王国からのメッセージ
最後に、この相互支援システムの構築を「東日本大震災復興のための女性リーダーシップ基金」によりバックアップしている、ノルウェー王国のハンス・ブラッツカー外務副大臣が来賓として登壇し、来場者に向けてスピーチを行いました。
ブラッツカー副大臣は、東日本大震災の被災に対するお見舞いを述べ、復興と女性の活躍に向けた取り組みに敬意を表すとともに、「災害に強い社会を作っていくために、暮らしや地域に密着した存在である女性の視点や経験、ネットワークを活用しない手はない。単に防災の計画に女性の視点を盛り込めばよいということではなく、女性たち自身が計画の策定をはじめ防災・復興のあらゆるレベルの意思決定に参画していくことが、よりよく災害に備えるために重要だ」と、力強いメッセージを送ってくれました。

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この日会場を訪れた188名の参加者とともに、男女共同参画センターの役割や、相互支援システムが有効に機能するためには、行政の理解をはじめ様々な機関や社会資源との連携が欠かせないことを確認し合い、システム運用に向けた一歩を踏み出す機会となりました。

<参加者の感想>

・センター同士でつながる重要性を認識できました。帰って伝えたい。指定管理で運営しているため、実際は難しいことも多いが、今後検討していく上でとても参考になりました。

・地元の男女共同参画センターの平時の活動を見直し、全国のセンターとつながる一歩を進めたい。

・女性センターの職員として、緊急時や災害時にこそ女性の視点、多様性を容認する視点を忘れないことが大切だと思います。いざというときに孤立してしまう人を減らせるよう、活動ができればと思っています。

・多くの方が男女共同参画センターに関心を持っていることが理解できました。「センターの専門性」という問いに対しての答えが、さらに明確でわかりやすい言葉で伝えられるようにすることが、私たちセンター職員の課題ではないかと思いました。

・防災分野に男女共同参画の視点が入るように働きかけていきたい。

・東日本大震災を機に男女共同参画センターのネットワークづくりがさらに深められたことは、私たち市民にとって、安心や心のゆとりにつながったと思います。

・各センターや機関が震災時それぞれ活躍されたことがわかりました。今後はそのノウハウ、ネットワークをどう維持していくかが課題ですね。スタッフがいなくなればそのノウハウですら失われてしまうような事態は避けなければならないと思います。

 

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