“きもち”をつなぐバス ~福島行 報告③
2015年10月21日

◆福島市「チャンネルスクエア」
【語り部:佐原真紀さん/NPO法人ふくしま30年プロジェクト 理事】

2日目の午前中は、2015年3月にオープンした「チャンネルスクエア」へ。子どもも大人も安心して体を動かせる空間を目指し、福島の豊かな自然をモチーフとしてつくられたインドアパークです。
入口前には潜り抜けできる木のモニュメント。入る前から期待感が高まります。

IMG_0955

施設内は、とてもおしゃれなつくりで、スケートボードなどを楽しむ親子連れの姿が見られました。カフェも併設されています。

IMG_0985 DSC05639_コピー

ここに事務所をかまえる、ふくしま30年プロジェクトの佐原真紀さんから、お話を聞きました。

IMG_0963 DSC05637_コピー

ふくしま30年プロジェクトでは、放射線防護に関して、「自ら測り、自ら考え、自ら判断できる」社会を目指し、セミナーや健康相談会などを行っています。

原発事故を受けて、「とにかく今、子どもたちがどんな状態にあるのかを知りたい」という母親たちの声に応えるため、体内の放射性物質を測る「ホールボディカウンター」を、行政に先駆けて設置しました。

佐原さん自身も母親として、外で思いっきり遊べない福島の子どもたちの姿に胸を痛めていました。子どもを守るためには放射線に関する知識を身につけなければという思いで、活動を始めたといいます。

内部被ばくを防ぐため、選ぶ食材にも気を使うようになりました。
「国は食品の安全基準を1kgあたり100ベクレル以下としているけれど、私は低いに越したことはないと思う。自分が納得できる『マイルール』をつくりながら生活しています」と佐原さん。

IMG_0966

今感じている課題は、「福島はもう安全だ」という雰囲気が高まれば高まるほど、放射線の影響を気にする人/しない人、本当は心配だけれど気にしないふりをしている人との間の隔たりが大きくなっていること。

「気にする自分はおかしいのでは…と自分を責めてしまう人、心配することに疲れてしまった人たちが、安心して声をあげられる場所が必要。お母さんたちの心が少しでも軽くなればと思って活動しています」と、伝えてくれました。

震災前は宮城県丸森町で有機農業をしていたスタッフの清水さんの説明を受けながら、館内に設置された食品の放射線測定装置や、通学路などの放射線量を測定できるホットスポットファインダー、ホールボディカウンターを見学。

おしゃれなスポットに、このような設備が常設されていることが新鮮でした。

IMG_0983 IMG_0981

DSC05636 DSC05640

 

◆二本松市「福島県男女共生センター 女と男の未来館」

最後の訪問先は、福島県男女共生センター。到着後、センター職員の長沢さんの案内で館内見学。

IMG_0990 IMG_0994

スタディツアーの締めくくりは、福島の3人の女性たちとの交流プログラム。
まずはお一人ずつ、震災後の状況や変化などをお話しいただきました。

【語り部:長沢涼子さん/福島県男女共生センター 事業課 主査】

P1010670

県の施設である男女共生センターは、3月12日の原発事故の夜、第一原発から4kmの距離にあった双葉厚生病院の患者の受け入れ場所となりました。

翌13日から4月10日までは、緊急被ばくスクリーニングや除染の場所に。一時はセンターの職員も、事務室内ではマスクや雨合羽等の着用、帰ったらシャワーを浴びるようにと指示されていました。防護服を着た作業員が出入りする傍らで、本当に大丈夫なんだろうか…と不安を抱えながら仕事をしていたといいます。

IMG_1001 IMG_1003

4月12日にセンターの業務を再開したものの、未曽有の災害を受けて事業や予算の見直しが行われ、男女共同参画のための事業が十分にできない状況に。

「このままセンターの機能はなくなってしまうのではないか」という危機感を抱いていた時、県内最大規模の避難所となっていた郡山市のビックパレットふくしまでの、被災女性支援を打診されます。

「避難所は、さながら野戦病院のような状況で、プライバシーや女性・子どもたちの安全が守られているとは言えませんでした」と、当時を振り返る長沢さん。

女性専用スペース運営の様子を、写真を見せながら紹介してくれました。

IMG_1008 IMG_1009

 

【語り部:日塔マキさん/女子の暮らしの研究所 代表】

P1010673

「震災前は“ギャル”でした」と、さらりと話しはじめた日塔さん。友だちとファッションの話で盛り上がり、夜遊びも大好き。自分、彼氏、友だちが世界の全てだったという、当時27歳の彼女の日常は、震災と原発事故によって大きく揺さぶられます。

「今までの価値観が全て壊れました。家族や彼氏とも考え方の違いでぶつかったりして。どうしたらいいのか、すぐに判断できなかった。8か月も悩んで、自主避難することを決めました」

放射線の影響が心配でも、福島で暮らす家族に気を遣い、安心して話せる場がなかった女の子たち。子どもや母親への支援はあっても、「18歳以上母親未満」の女の子たちへの支援はないことに気づいた日塔さんは、2011年11月、福島出身の友だちと任意団体peach heartを立ち上げ。「女の子のための保養ツアー」を企画し、本音で話せる場をつくりました。

「福島では暗い表情をしていた女の子たちが、保養先で言いたいことを言い合い、表情が変わるのがわかった。福島の女の子たちにプライドや誇りをもってもらえるような活動をしていきたい」

今は福島県内で暮らしながら、「女子の暮らしの研究所」の代表として、伝統工芸品を使ったグッズの販売など、福島の魅力を発信する事業も行っています。

「震災前の自分は何だったんだろうと思うくらい、世界が広がりました」と、笑顔で話してくれました。

IMG_1014
「福島の女の子たちの自信になるものを作りたい」― 看板商品の「ふくいろピアス」には、会津木綿が使われている

IMG_1016

 

【語り部:中村美紀さん/山形避難者母の会 代表】

P1010678

震災前は、郡山市で仕事をしながら、3児を育てていた中村さん。原発事故後、「仕事をしている自分」と「母である自分」の間で葛藤を生じながらも、「母の思い」を優先。夫を郡山に残して、子どもたちと山形市へ自主避難しました。

郡山市は、国が指定した強制避難地域ではなく、県内の原発避難者を受け入れている場所です。そんな郡山から「どうして避難したの?」と批判され、自主避難者として居心地の悪さを感じながら山形で過ごしていたある日、南相馬市の議員に言われた言葉に、背中を押されました。

「『大変な思いをしているのは自主避難でも同じ。当事者としてもっと声を上げていいんだよ』と。そこから、自主避難のお母さんたちの声を発信する活動を始めました」

心がけたのは、「母親たちの声を聴いて、翻訳し、かたちにすること」。
男性に理解してもらえるような言葉に変換する、文書に残すなど、男性社会で仕事をしながら身に着けた「したたかさ」が役に立ったといいます。

2012年に山形市内にオープンした「ふくしま子ども未来ひろば」では、女性たちの知恵やスキルを活かし、母子避難者のサロンや一時預かり、習い事支援などさまざまな事業に取り組みました。2014年に郡山に帰還してからも、活動を続けています。

「目標とするのは、福島に戻っても、戻らなくても、お母さんたちが『避難者』ではなく『ふつうの人』として、地域で自立して生活できるようになること。そのための支援を続けていきたい」と、結びました。

IMG_1020

語り部の3人に、参加者からのひとことメッセージをプレゼント。
それぞれに聞きたいこと・話したいことは尽きず、帰る時間ぎりぎりまで交流を深めました。

IMG_1024

2日間のプログラムが全て終了し、女子クラの虷澤さんは、「語り部の女性たちには貴重なお話を聞かせていただくことができたが、それでも、福島県民200万人のうちの一部の声であることは覚えておいてほしい」と締めくくりました。

仙台に向かう帰りの車中では、「前向きに取り組む若い方たちの姿に感動した」「出会った方たちのように強い女性になりたいと思った」「参加できなかった人に伝えたい」「福島で感じたことをこれからゆっくり消化していきたい」といった感想がありました。

この旅の起点となった「日本女性会議2012仙台」のテーマは、「きめる、うごく、東北(ここ)から」。「女性たちには社会を変える力も責任もある」というメッセージが込められています。福島で出会った女性たちは、まさにこのテーマを体現していました。

今回のスタディツアーで感じたことや福島の女性たちの声をぜひ皆さんとも共有したいと、下記の交流イベントを企画しました!女子クラの方々をゲストにお迎えするほか、「恵むの杜」阿部恵さんによる楽つみ木の体験ワークショップもあります。ぜひご参加ください!

==================================

男女共同参画推進せんだいフォーラム2015
「“きもち”をつなぐカフェ」

日時 2015年11月22日(日)13:00~16:45
会場 仙台市男女共同参画推進センター エル・パーク仙台
   ギャラリーホール(141ビル(仙台三越定禅寺通り館)6F)
内容
◆“きもち”をつなぐバス ~福島行を振り返って 13:00~14:30
ゲスト:女子の暮らしの研究所
⇒申込・詳細はこちら

◆楽つみ木ワークショップ 14:45~16:45
ゲスト:阿部恵さん(恵むの杜 代表)
⇒申込・詳細はこちら

問合せ エル・パーク仙台 TEL022-268-8300
主催 (公財)せんだい男女共同参画財団

☆男女共同参画推進せんだいフォーラム2015リーフレット(PDF)はこちら

==================================

  • Share (facebook)
  • LINEで送る
お問合せ
仙台市男女共同参画推進センター エル・パーク仙台
〒980-8555 仙台市青葉区一番町4丁目11番1号 141ビル(仙台三越定禅寺通り館)5階・6階
TEL.022-268-8300 FAX.022-268-8304 Email park1@sendai-l.jp